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テイクアウト市場を侵食!?進化する食品自動販売機

2020年、2021年とテイクアウト市場は拡大しました。飲食店の料理を持ち帰って食べることは、いまや日常のひとコマになっています。そんな中、利用する人が徐々に増えているのが「食品の自動販売機」です。


テイクアウトも自販機も非接触のサービス

新型コロナの感染が拡大した2020年、外出も人との接触も最小限にできるテイクアウトへの需要が一気に高まりました。サービス提供の中心は、以前からテイクアウトに対応していたファストフード店でした。しかし2021年に入ると、さまざまな業態がテイクアウト・デリバリーサービスを強化。飲食店の味を家や職場で味わえる体制が拡充したことで、テイクアウト市場はさらに盛り上がっていきました。

コロナ前は中食市場が伸長していましたが、コロナ禍になり鈍化したというデータが出ています。背景には、飲食店のさまざまな業態でテイクアウト・デリバリーができるようになったことで、消費者の店選びが変わったことがあると考えられます。

テイクアウト・デリバリーに続き、最近、消費者が関心を寄せているのは「食品の自動販売機」です。時間帯に関係なく非接触で商品が購入できる、キャッシュレスに対応しているといった自動販売機の特徴が見直されているのです。以前から「おでん」や「出汁」などの販売機はありましたが、現在は多彩な商品が扱われています。


名店のラーメンを冷凍で販売

2021年3月、全国の有名ラーメンを24時間買える冷凍の自動販売機「ヌードルツアーズ」が登場しました。設置をしたのは、業務用麺類製造を行う株式会社丸山製麺 (東京都大田区)です。

同社は、はじめて緊急事態宣言が出た昨年4月、ラーメン店の売上低迷の打開策を模索。すぐに全国の名店に声掛けをし、ラーメン通販事業を本格化していきました。一方で、「ラーメンはすぐ食べないとおいしくない」といった理由で、店側も消費者もテイクアウトには消極的であることを知りました。テイクアウトに代わる戦略として、アイスクリーム用の自動販売機を応用して冷凍ラーメンを販売することを思い付いたそうです。

扱っているのは、通販で取引のある名店の冷凍ラーメンで、冷凍麺と各ラーメン店が実際に店で提供しているストレートスープや具材が入っています。ユーザーはそれを自宅で湯煎をして食べます。実際に店に行かなくても、お店の味を24時間手軽に買えると好評。リピーターを増やしているようです。


AIカフェロボットがコーヒーを提供

「root C(ルートシー)」は、見た目はコーヒーの自動販売機のよう。しかしその正体はAIロボティクス技術を活用した無人カフェです。

無人カフェと聞くと、カフェマシンのようなものを思い浮かべるかもしれません。しかしこれはまったく異なるもの。専用スマホアプリで受け取りたい場所と時間を指定して、コーヒーを注文すると、指定した時間にコーヒーをロッカーから非接触で受け取ることができます。

AIを搭載しているため、ユーザーの好みを学習していきます。パーソナライズ診断を利用すると、ライフスタイルや嗜好に合ったおすすめコーヒーを提案してくれます。完全無人・非接触ながら、“接客”を受けることができるのです。

開発をしたのは、様々な領域でDXを推進する株式会社New Innovations。日経トレンディ「スタートアップ大賞2021」優秀賞に選ばれています。


「もったいない」を自販機で販売

特殊冷凍ソリューション事業を展開するデイブレイク株式会社は、東京都の「2021年度 食品のロングライフ化技術を活用した食品ロス削減事業」に採択されました。現在、飲食店でこれまで廃棄されていた食材を活用し、特殊冷凍した食品を自動販売機で販売する「急速冷凍食品の自動販売機での販売実証」を行っています。例えば、寿司店で使い切れないネタやシャリ、魚のアラを使用し、おむすび・汁物・おばんざいなどに商品化。ターゲットにしているのは、販売機設置場所の周辺のオフィスワーカーや近隣住民などです。

今後は、食品ロスを削減する事業として社会実装を目的に取り組んでいくそうです。


上記以外には「もんじゃ」や「ケーキ缶」などもコロナ禍になり自動販売機で販売されています。自動販売機は非常に汎用性が高いことがわかります。ただし、自動販売機には品物がなくなれば補充しなければならない、金銭の盗難事件が起きるケースがあるなどの課題があります。今後、商品の特性や地域性に合わせ、テイクアウト・デリバリーサービスとの棲み分けが進むかもしれません。

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