
今こそ地方が輝く時!魅力発見ご当地の味 石川県編
その土地ならでは『ご当地の味』はそこに住む人はもちろん、訪れる人にとっては旅行の目的のひとつになったり、離れている人は故郷を思い出せたりと魅力的なものです。各都道府県の特産物や郷土料理、ご当地グルメなどをご紹介していきます。
今回は【石川県編】です! (写真提供 石川県観光連盟)
◆海の恵も山の恵も豊富
石川県は南北にのびた地形をしています。そのため北部と南部とでは特徴が異なり、天気予報でも「加賀地方」、「能登地方」で予報が分かれていることが多いようです。
北部の能登地方は日本海へ北に向けて突き出した半島で、日本でも有数の定置網漁業が盛んな地域です。定置漁が行われる冬の期間には、ブリやアジ、サバなどが水揚げされます。
また、能登地方には伝統的な発酵食が数多くあります。塩漬けした魚と米を漬け込み乳酸発酵させたもので日本古来のすしといわれる「なれずし」、魚の糠漬けである「こんかいわし」、真イカの内臓を使った、いわゆる魚醤「いしり」などがその代表です。この地の先人たちが長い冬に備えて保存食をつくる中で、夏の高温多湿の気候を上手く活かし、発酵の技術を磨いていったと考えられています。米と塩が採れたことも発酵食づくりを後押ししたといわれています。
一方、加賀地方には白山を最高峰とする険しい山地が広がっています。加賀野菜と呼ばれる伝統野菜が育てられていたりと、能登地方とはまた違った魅力があります。
◆最高級魚「のどくろ」
石川県沖の漁場は暖流と寒流が交わる海域なので多様な魚が獲れます。中でも、有名なのは「のどくろ」でしょう。正式名称は「アカムツ」ですが、喉が黒いことから「のどぐろ」と呼ばれています。
数年前までは今ほど有名ではありませんでしたが、「タイやヒラメを凌ぐ高級魚」「白身の魚とは思えないほどの脂のり」などの情報とともにメディアで取り上げられるようになると一気に話題に。今では全国的にも「ノドグロ」の呼び名が通っているほどです。刺身でも、塩焼きや煮付けにしても絶品。干物はしっかりと凝縮された旨味が楽しめます。どんな料理法でも美味しく味わえることも愛される理由でしょう。
その他に、「がすえび」という珍しい海産物もあります。甘エビやボタンエビなどに見た目の立派さでは負けてしまいますが、味は甘くて濃厚。他の海老に比べ鮮度が落ちるのが非常に早く流通させるのが難しいこともあり、地元の人にはこちらを好んで食べる人が多く、門外不出の味になっているそうです。
◆伝統の加賀野菜
昭和20年以前から栽培され、現在も主に金沢で栽培されている野菜のうち、ブランド認定された15品が加賀野菜と呼ばれています。「二塚からしな」や「金時草」、「くわい」などが認定されています。時代の風潮とともに一時は生産が衰退していましたが、地域の“財産”を後世に伝えていこうと普及が進められています。
金沢大学の調査では、加賀野菜を実際に食べたことのある観光客のほとんどが味に満足していたりと評価が高いことがわかり、飲食店での活用も進んでいるようです。しかし他の野菜と異なり、仕入れ時期が限定的、価格が不安定であるなどの課題があるため、生産性の向上とともに、旬や希少性をアピールするなどして付加価値を高める取り組みも進められているそうです。
◆郷土料理「治部煮」
郷土料理で有名なものは「治部煮」です。大きめにそぎ切りにした小麦粉をまぶした鴨肉、すだれ麩や季節の野菜などを出汁や醤油で味付けたに煮物で、江戸時代から食べられていた武家料理のひとつといわれています。薬味としてわさびを添えて食べるのが一般的とされています。すだれ麩とは、竹でできたすだれに小麦粉の生地をはさんで作った麩で、噛み応えがあるのが特徴です。
季節によってはブリなどの旬の魚介を加えたりとアレンジがしやすい料理でもあります。最近ではイノシシ肉などを入れてジビエ料理にすることも増えているそうです。
地方には興味深い料理や食材がまだまだ隠れています。次回をお楽しみに!