
テイクアウト夏の陣!各社の新メニューは?
テイクアウト市場の成長が続いており、飲食店経営においてテイクアウト需要を捉えていくことの重要度が増しています。そうした中、各社はテイクアウトの夏メニューの発表をはじめています。
一汁三菜定食と丼から選べるように
定食レストラン「やよい軒」は、2021年4月、弁当に代わる新たな持ち帰りサービスとして、ごはん・汁物・おかずを別々の容器で提供する「おうち定食」を開始しました。ごはんはまるでお茶碗のような容器に入っており、強いこだわりがうかがえます。
背景には、同店を運営するプレナスが実施したアンケートで「外食・中食を利用する際に好ましい食事として栄養バランスのよい定食を選んだ人が約7割もいた」ことや、「ごはんとおかずとを一緒に詰め込む弁当では同店が大切にしているごはんの美味しさが出せないと考えた」ことなどがあるようです。
「おうち定食」の夏メニューとして発表されたのは、「チキン南蛮丼」「地鶏親子丼〜阿波尾鶏〜」「かつ丼」の3種。これまでのコンセプトとは異なり、暑い時期ならではのスタミナ重視の丼が加わりました。
同店が持ち帰りメニューをはじめると、次のような売上の変化がわかったそうです。
・これまで男女比率は約7対3だったものの、女性客の比率が高まり5対5に
・6対4だった日中と夕方以降の売上比は逆転をして4対6に
・持ち帰りメニューの利用者は単身世帯が38.3%、家族世帯61.7%と家族のいる人のほうが利用率が高い
こだわりの定食スタイルと丼から選べるようにしたことで、夏休みで多様化する家族の食事ニーズにも細やかに応えるサービスになりそうです。
見た目も涼しいメニューへ
セルフ式うどん店の丸亀製麺は、テイクアウト専用メニュー「うどん弁当」シリーズに「豚の冷しゃぶと定番のおかずうどん弁当」「鶏天おろしと定番のおかずうどん弁当」の2種類を加えました。どちらも徳島産のすだちと大根を使用した「すだちおろし」がトッピングされていて、暑さで食欲が落ちているときでも食べやすく仕上げられています。
うどんにはもともとテイクアウト需要があるため、同社ではコロナ以前からテイクアウトの導入準備を進めていたそうです。その際にこだわったのは、イートインと遜色のない品質での提供。テイクアウト用に伸びにくい麺を開発する会社がある一方で、同社では「現在店舗で提供している麺がベスト」と考え、ひと箱に手づくり・できたてのうどん、サクサクの天ぷら、さらにはおかずを詰め込んでおいしさを保てる容器の開発に力を入れてきたのだとか。この成果もあり、売上に占めるテイクアウトの割合は増えているそうです。
定番をテイクアウト限定にアレンジ
カジュアルイタリアン「カプリチョーザ」ではコロナ禍、期間限定のテイクアウトメニューの提供をおこなってきました。6月21日からは、3品の定番料理をテイクアウトメニューに。テーマを「定番の人気メニューをアレンジ!楽しめるのはレストラン”以外”だけ!」とし、特別感を演出しています。
その3品とは、夏に食べたいピリ辛のスパゲティ、4種のチーズにカマンベールをも加えたピッツァ、そしてライスコロッケです。
”元祖シチリア風ライスコロッケ、ミートソースがけ“には”スパゲティ ペスカトーレ“をかけ、新たな一品に。ライスコロッケは拳大もあるものの、単品ではSNSに載せてもインパクトに欠けてしまっていました。しかし、イカや貝が具材の魚介のトマトソースが一緒になったことで、そのボリューム感が際立つように!SNSでの拡散・売上UP効果も期待できそうです。
食中毒対策の強化を
夏場のテイクアウトでは、お客様にとっては、メニューだけでなく食中毒のリスクも気になるところです。飲食店にはこれまで以上の対策が求められます。
食中毒の発生原因は主に、基本的な衛生ルールが徹底されていないことにあります。「食品の加熱不足はないか」「不衛生な設備になっていないか」「食品の温度管理に不備はないか」「調理担当者自身の体調と衛生の管理はできているか」「出入りする業者はルールを徹底しているか」を今一度確認してください。
品質管理をお客様任せにしない取り組みも大切です。保冷剤を準備する他、「持ち帰ったら早めに食べてください」「長時間の持ち歩きはしないでください」といった声掛けもしていきましょう。