
コロナ禍で急拡大!モバイルオーダー市場の今
モバイルオーダーの普及において、日本は世界と比べてやや遅れていると言われてきました。しかし新型コロナウィルスが広がり、市場は急拡大。飲食店にとって欠かせないサービスになりつつあります。
2020年はモバイルオーダー元年
スマートフォンを使い事前にテイクアウトの注文を入れ、予定の時間になったら店舗で受け取る―――これが「モバイルオーダー」です。日本でモバイルオーダー市場が動き出したのは、マクドナルドやスターバックスといった大手がサービスの提供をはじめた2019年のことでした。
背景にあったのは、消費税の増税と国がキャッシュレス決済を推進したことです。
増税時、飲食店では軽減税率が導入され、イートインの税率は10%に上がり、テイクアウトの税率は8%に据え置かれることになりました。テイクアウトの需要増加が見込めるため、モバイルオーダーの導入がはじまったのです。また、国が当時、インバウンド消費の拡大や人手不足や生産性向上の課題を解決することを目的にキャッシュレス決済を推進したことが普及を後押ししました。こうして2020年、日本はモバイルオーダー元年を迎えました。
このような状況下に新型コロナウィルスが到来。モバイルオーダーの「非接触」「待ち時間を短縮できる」といったことがメリットとなり、注目が一気に高まりました。日本のモバイルオーダー市場は「当初想定されていたより2・3年前倒し拡大している」と見ている専門家もいます。
最近では、店内飲食で活用できるモバイルオーダーも登場。サービスの多様化はさらなる市場を生み出しそうです。
モバイルオーダーの利用の実態は?
では、消費者はモバイルオーダーをどのように捉えているのでしょうか?3社の調査結果を取り上げます。
「モバイルオーダーという言葉の認知度」は、2020年の調査時は34%だったものの、2021年の調査では62%にまで拡大。この1年で認知度は一気に高まったことがわかります。
また、モバイルオーダー利用頻度は「月1回」が最多の29.6%、「月に2~3回」が26.8%、「月に4~5回」が11.3%と続く結果に。「今度も利用しますか」の問いには90.1%が「使う」と回答しています。サービス利用者は継続的に使っていて、今後も使っていくと予想できます。
消費者は利用できる店舗の増加を期待
New Innovations(2020年8月実施)は、「モバイルオーダーで改善してほしいこと」を調査しています。
1位は「会員登録など事前の設定を簡略化してほしい:44.0%」で、2位は僅差で「利用できる店舗を増やしてほしい:43.5%」という回答になったそうです。さらに、モバイルオーダーを利用したことのない人へ「どのような点が改善されれば、モバイルオーダーを使用すると思いますか」を尋ねたところ、「利用できる店舗を増やしてほしい」が37.5%で最も多い結果になったそうです。
モバイルオーダーの導入は、既存客への利便性の高いサービス提供になるだけでなく、新たな層を取り込める可能性もありそうです。
Withコロナの飲食店経営では、感染症対策と同時に売上UPとコスト削減を図っていかなければなりません。日々、市場が拡大するモバイルオーダーの導入は、その大きな手立てとなっていきそうです。
【参考】
「予約ラボ」2020年・2021年モバイルオーダーに関する調査結果
「三井住友カード」2020年4月~7月オンラインサービスの利用に関する調査
「New Innovations」2020年8月14日〜8月17日モバイルオーダーに関するアンケート