
ミールキットがコロナ禍で人気 飲食店も参入
巣ごもり需要の拡大によりミールキット市場が賑わいをみせています。2018年度は1200億円程度の市場でしたが、2024年には1,900億円規模にまで拡大するとみられています。
巣ごもり需要に応えるミールキット
ミールキットとは、特定の料理を作るために下ごしらえされた食材や調味料、レシピ等がセットになった使い切り型の商品のことです。買い物時間も調理時間も短縮のニーズが高い共働き世帯、単純な冷凍食品やコンビニ食品の利用に抵抗感を持つ家庭、健康を考えている人、料理に苦手意識がある人などに活用されています。ミールキットは一食分の食材しか含まれておらず、食材の廃棄を回避できるため、近年はフードロス削減の観点からも注目が集まっています。そしてコロナ禍において、はじめて利用する人が増えたり、利用頻度が増えたり、さらには販売チャンネルが充実したことにより、今、市場は急拡大しています。
食品を扱う事業者以外にも、EC・宅配事業者、小売業者、調理家電メーカーなど、様々な業種の企業がミールキット販売に参入しています。最近では、株式会社JTBと株式会社NTTドコモが京都府内の農業生産者や食品事業者を支援するため、京都の食材とレシピをセットにしたミールキットを共同開発したそうです。「京都に観光に行かなくても旅先の味を楽しめる」と話題になっています。そしてミールキット宅配サービスを展開するヨシケイでは、一人用のサービスを充実させ、新たにリモートワーク層の需要を獲得しているようです。
飲食事業者もミールキットの注力
◆和民
「和民」ブランドをはじめとする外食事業を行っているワタミ株式会社では、「ワタミの宅食」として、高齢者を主なターゲットにお弁当・お惣菜の宅配をメインにサービス展開してきましたが、コロナウイルス対策として幅広い世代が自宅で食事をすることが増えると予想し、2020年秋に新たにファミリー層をターゲットに、カット済み・下ごしらえ済みの食材と調味料、レシピがセットになった「ワタミミールキット」のサービスを開始しています。ミールキットならではのメリットがあるだけでなく、外食事業のノウハウを活かした“ひとつ上いく家庭の味”が好評なようです。そして今年に入り、主菜1品のミールキットに副菜3品分の惣菜がついてくるコースを加えたり、「2~3人用」としていた分量を「2人用」と「3人用」にしっかりと分けたりと、より消費者のニーズに応えるリニューアルもしました。
◆カプリチョーザ
人気のカジュアルイタリアン「カプリチョーザ」では、看板メニュー「トマトとニンニクのスパゲティ」のミールキットを期間限定で店舗販売しました。パスタはテイクアウトだと麺が伸びて味が落ちてしまうため、家庭でパスタを茹でるみーるキットをはじめたそうです。お店の味を自宅で堪能できるだけでなく、好きな具材を追加してアレンジを楽しむこともできると好評でした。
◆大戸屋
大戸屋は、食品宅配サービス「Oisix」にて監修をしたミールキットを販売はじめました。同店の不動の人気№1メニュー「鶏と野菜の黒酢あん」が自宅でつくれると、販売前から話題になりました。
サポートサービスも登場
「ミールキットをはじめたいがノウハウがない」という場合、サポートサービスを活用するという解決策があります。
例えば、ミールキットの企画・販売を手掛けるStay Restaurant と飲食店のコンサルティングなどを手掛けるグローリーダイナーは、家庭用にアレンジされた飲食店自慢のレシピやミールキットを販売するオンラインショップ「Stay Restaurant」を開設しました。
最大の魅力は、飲食店がレシピを提供すると、Stay Restaurant社の提携飲食店がミールキットを製造してくれること。飲食店が自らミールキットを販売するとなると、各種の販売許可の取得をしなければなりませんが、手間なくビジネスをはじめることができます。
◆Stay Restaurant https://stayrestaurant.shop/
飲食事業者がお店の味にこだわったミールキットは、コロナ禍でなくとも消費者は魅力を感じやすいと考えられます。テイクアウト・デリバリーに続き、注目の事業になっていきそうです。