
注目される「ひとりごはん」 コロナ禍で需要増
飲食店において食事時の飛沫を防ぐことが新型コロナウイルスの感染を予防のために重要視されていますが、そもそもひとりで黙って食事ができれば、お客さまもお店側も安心です。一人でゆっくりと食べられるお店を見つけたい人と「ひとりごはん」がしたいお客さまを集客したい店とをつなぐ取り組みがはじまっています。
「ひとりで行きたい」と「来てほしい」をマッチング
デリバリーやテイクアウトなど食事が多様化する一方で「やはりお店で出来立て料理を食べたい」「毎日家での食事はなんとなく寂しさを感じる。家ではない空間で食事をしたい」といった声は多くなっています。こうした人たちが目をつけたのが、外食と感染防止の両方が叶う「ひとりごはん」です。
いま、ひとりごはん専用グルメアプリ『ソロメシ』が注目されています。これは「ひとりごはんを歓迎してくれるお店がわからない」という人と「ひとりごはん歓迎だけれど、どうアピールしたらいいのかわからない」飲食店を結びつけるマッチングサービスです。現在はマッチングだけでなく、「『3密対応をやっています』ではなく『ウェルカムソロメシ』ですという飲食店からのポジティブなメッセージ発信で外食業界の活性化を目指そう」と取り組んでいるそうです。
お店は初期費用無料(月額費用無料プランもあり)で掲載できる他、ユーザーのレビューやソロメシスタッフのおすすめで新規追加されるのだとか。ひとりごはん好き同士で情報を交換し合うシステムもアプリ利用者にとっての面白さになっているようです。
アフターコロナに入っても、ひとりごはんには、食事時間が限られる人や副業をしている人、単身世帯らからの需要があると見込まれていますし、ひとりごはんを好む方は気に入ったお店が見つかるとリピーターになりやすい、マナーがよいといわれています。ひとりごはんを囲い込んでいくことで今後の売上を底上げできそうです。
◆ソロメシ https://www.solomeshi.jp/
「ソロ活」のススメで大手チェーンの形態も変化
ひとりごはん市場が盛り上がっている理由は、コロナ禍だけではありません。以前は、ひとりで食事をすることには「寂しい」「つまらない」などのマイナスのイメージがありましたが、「ひとりでの充実した時間を過ごせる大人の自立した像」をイメージさせる『ソロ活』がメディアで取り上げられるようになり、ひとりでの食事に対するイメージは変化してきています。
こうした流れを受け、ファミリーレストラン「ガスト」は1人席を備えました。席の両側にはついたてがあり、電源やWi-Fiを使うこともできるそうです。さらに、「1人一台の無煙ロースターで味わうひとり焼肉」で話題の焼肉ライクをはじめ、ひとりしゃぶしゃぶ、ひとり回転寿司なども台頭してきています。
ひとりでも楽しめる店づくりのポイント
ひとりごはんのお客さまを迎えたいお店は、環境づくりからはじめましょう。
はじめに用意をしたいのは、心地良い席です。仕切りなどで周囲の目が気にならない環境にします。電源とフリーWi-Fiのつかえることを重視するおひとりさま少なくないため、可能な範囲で整備したいものです。そして、席は店の外からも「ひとりでくつろいでいるお客さま」が少し見える場所に配置しましょう。そういったお客さまの姿が見えると、店を探している方は入店しやすくなります。
周囲のテーブル配置には気配りをしてください。当然ながら、グループ客に囲まれるような配置な居心地が悪いもの。団体客とおひとりさま席は可能な限り離しましょう。
メニューにも一工夫を忘れずに。サイドメニューやデザートを増やすと喜ばれますし、単価UPにつながります。
業態を問わず、ひとりごはん需要は高まっています。これまでのお店の在り方にとらわれない柔軟な発想が集客のカギになりそうです。