
スパコン「富岳」が教える 飲食店の飛沫対策、最適方法はこれ!
あなたのお店のアクリル板の高さはどれくらいですか?「業者に進められたものをそのまま設置している」「口までの高さがあればいいのでは?」といった方は少なくないかもしれません。せっかく感染予防対策をしても、それが正しい方法でなければ効果は下がってしまいます。理化学研究所がスーパーコンピュータ「富岳」を使い飛沫・エアロゾルの広がりを解析した結果に基づき、感染症対策の「ポイント」を確認しましょう。
飛沫感染を防止するのは
“十分な高さがある”パーテーション
会話や咳やくしゃみをしたとき、口から飛沫が出ます。感染者の飛沫の中にはウイルスが含まれているため、感染の原因になり得ます。食べる・話すといった飲食店での行動には飛沫がともなうため、飛沫感染の防止策としてアクリル板や透明ビニールカーテンなどのパーテーションの設置は欠かせません。
理化学研究所の解析結果からは次のことがわかったそうです。
・床から120cmのパーテーション(イスに座った人の口くらいの高さ)では、飛沫の一部は止まるが、飛沫の多くは仕切り板の上を乗り越えて広がる
・床から140cmのパーテーション(イスに座った人の頭がほぼ隠れる高さ)では、周りの人に飛沫はあまりかからない
・床から160cmのパーテーション(イスに座った人の頭がしっかり隠れる高さ)と140センチのパーテーションでは効果がほとんど変わらない
会話時は直接目を合わせられた方がよいからと、目の下くらいの高さにパーテーションを設置している店舗がありますが、それは対策は不十分。「イスに座った人の頭がほぼ隠れる高さ」は必須です。
雨の日はテーブル消毒を徹底して
湿度と飛沫の蒸発に関連があることもわかったそうです。湿度が高いと飛沫が蒸発しにくく、テーブルの上などに溜まりやすくなるそう。これは、湿気が強いときはテーブルの共有が感染リスクになり得るということです。雨の日、そして今年の梅雨は、1人分ずつ料理を提供する、カトラリーを共有しないように呼びかける、テーブルの消毒を徹底する、といったことに改めて取り組んでいきましょう。
テーブル席では「はす向かい」に着席
テーブル席に座ったときの飛沫のシミュレーション結果からは、飛沫は比較的直進方向に進むため、座る位置としゃべる方向が感染に関連することが明らかにされました。
・飛沫は話しかけた人以外にはほとんど届かない(正面の人に向かって話した場合、はす向かいや、隣の人にはほとんど飛ばない)
・人と人との距離が1mを切ると、届く飛沫数が一気に増える
・隣に座る人と話す場合、真正面に座る人と話すのに比べ、5倍の数の飛沫が飛ぶ
・はす向かいの人と話す場合、真正面に座った場合の4分の1程度の飛沫が届く
お客さまがテーブル席に着く場合は「互い違いに座る」が重要なことがわかります。「人と人が1.2m以上離れるようにする」ことも重要であるため、「人数に対して大きなテーブルに案内するなどして、人と人が1.2m以上離れるようにする」、難しい場合は「パーテーションを設置する」などの対策をとりましょう。また、カウンター席では「一席ずつ飛ばして案内をする」「パーテーションを設置する」などが有効と言えます。
ムラのない換気を心がけて
感染症対策のアイテムを活用していても、窓・ドア等を定期的に開放したり、常時換気扇を使用したりして、しっかりと空気の流れをつくることは大切です。
厚生労働省はコロナの換気対策として、CO2濃度が1000ppmを超えていないか確認するよう奨励しています。CO2測定器を店内の数カ所に置き、数値が高いところにサーキュレーターを置いて、空気を循環させるという方法を取る飲食店も増えているようです。保健所職員が店内のCO2濃度や空気の流れを測定し、適切な換気を支援する取り組みをしている自治体もあります。こうした支援を活用するのもよい方法です。
さまざまな調査からはコロナ禍において消費者意識が「感染しないかどうか」に向いていることがわかっています。お客さまに選ばれる店になるとともに従業員の健康を守っていくため、今後も感染症対策にしっかりと取り組んでいきましょう。