
梅雨は食中毒に要注意! 見直そう、テイクアウトの食中毒対策
農林水産省「食中毒統計資料」によると、梅雨時期(5月~6月)と夏(7月~9月)は細菌性の食中毒の発生件数が増加するとのこと。調理してから食べるまでの時間が長くなりがちなテイクアウトには特に注意が必要です。
食中毒の原因は1つではない
「食中毒」には原因となるものがいくつかあり、時季によって傾向があることがわかっているそうです。
出典:農林水産省Webサイト/厚生労働省令和元年板「食中毒統計資料」
(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/statistics.html)
食中毒は年間を通して、一定数発生するものの、梅雨時期(5月~6月)と夏(7月~9月)は湿度や気温が高く、細菌が増えやすいので、細菌性の食中毒の発生件数が増加します。また、細菌は 20~50℃の温度帯でよく増えことがわかっており、7月~9月は一日を通して食中毒菌が増殖しやすいと言えるため一層の注意が必要です。
【細菌性の食中毒の原因】
加熱不足の卵・肉・魚料理などが原因のサルモネラをはじめ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)、黄色ブドウ球菌など。
【参考】その他の食中毒の原因
・ウイルス:ウイルスを含む二枚貝(カキ等)を生や十分加熱せずに食べたことが原因になるノロウイルスの他、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスなど。
・寄生虫:魚介類に寄生するクドアやアニサキスなど。
・化学物質:食品や原料に本来含まれない有害化学物質(重金属やカビ類、有害食品添加物等)。
・自然毒:キノコ、野草、ふぐなど、自然界に存在する天然の毒。
増えている「カンピロバクター」
近年、細菌の中でも「カンピロバクター」による食中毒の発生件数が増えているそうです。
カンピロバクターによる食中毒を起こすのは、鶏のたたき、鶏肉、鶏レバーの生食や調理時の加熱が不十分なもの。加熱には弱い細菌なので十分に加熱調理をすれば防げます。ただし、冷凍しても菌はなくなりません。
少量の菌数で発症するのも「カンピロバクター」の特性です。そのため、冷蔵庫内や調理器具、手指等から他の食品にこの細菌が付くことでも起こり得ます。
【予防法】
・生または加熱不十分な鶏肉や鶏レバーは提供しない。
・特に鶏肉などの食肉は、十分な加熱(中心部を75℃以上で1分間以上)を行う(生煮え・生焼きの食肉に注意)。
・生の鶏肉や牛・豚レバーなどを調理した後は、手指や調理器具を十分に洗浄する。
・調理器具や食器は、熱湯で消毒し、よく乾燥させる。
・保存時や調理時に、肉と他の食材(野菜、果物等)との接触を防ぐ。
テイクアウトのお客さまに伝えるべきこと
テイクアウトの課題は、お客さまに料理を渡した後は料理の管理が一切できないことです。店内で食べるときと比べて、調理してから食べるまでの時間が長くなりがちなので、安全に美味しく食べていただけるよう必要なことはしっかりと伝えましょう。
□食品を購入したらすぐに帰宅し、長時間持ち歩かないようにする。
□持ち帰ったら、できるだけすぐに食べる。すぐに食べない場合は、冷蔵庫で保存するなど長時間常温で放置しないようにする。
□再加熱するときは中心までしっかり加熱するようにする。
□食べる前にはしっかり手洗いをする。
□保冷剤や保冷バッグで持ち帰りを促す。
これからの時季は、お店で保冷剤を提供するほか、お客さま自身で持ち帰るまでの温度管理をしてもらうため保冷バッグの持参をお願いするのも大切な取り組みです。
最後にチェック!
自店のテイクアウトの取り組みは大丈夫?
□鮮魚介類などの生もの、"半熟”卵や"レア”なお肉の提供はしない。
□水分を切る、よく煮詰める、浅い容器に小分けするなど傷みにくい工夫をする。
□注文を受けてから調理するなど、食べるまでの時間を短くする工夫をする。
□容器詰めは、清潔な場所で行う。
□購入した食品は速やかに食べるよう、口頭で、または容器にシールを貼るなどしてお客さまに伝える。
□調理した食品は速やかに10℃以下まで冷ますか、65℃以上で保管する。
梅雨から夏場にかけてテイクアウト料理を食中毒から守るには、普段から行っている衛生管理と店舗スタッフの健康管理という基本に加え、お客さまの協力も重要です。食のプロとして情報喚起をし、テイクアウト料理の安全安心性を高めてください。